関西教育学会は1948年に日本教育学会近畿部会として創立され、1952年に時代の要請に応えて、「理論と実践の両面から相互の切磋琢磨による教育の復興と更新を目指し」て現在の名称へと改称いたしました。2018年で創立70周年を迎えます。
関西教育学会は、専門に分化し特化した教育学研究を、改めて専門領域を横断した広い視野から捉え直すことのできる、そしてまた教育の現場に立つさまざまな教育関係者が参加している、総合的な学会として発展してきました。
例えば、2016年の立命館大学におけるシンポジウムでは、「さよなら」という挨拶を切り口に、生死という人間存在の極限での関わりが、教育人間学・臨床教育学・ホスピスの現場から協同して探求されました。また2017年の大阪市立大学におけるシンポジウムでは、オルタナティブな学校を作るという具体からはじまり、その教育実践を手がかりに、現行の学校教育の問題点を明らかにするだけでなく、未来の多様な学校の形態の可能性までもが、実践知・反省知・法的知の視点から立体的に論じられました。
これまでの大会校のいずれのシンポジウムもそうでしたが、どれも研究領域を横断する教育のダイナミズムに深く触れるものでした。地方の総合学会として、地域の教育実践の具体に密着しつつ、教育研究による人類の福祉の向上を目指しており、その役割を十分に果たしてきたといえます。
優れた学術的研究論文に贈る「学会賞」とともに、優れた研究実践についての研究論文に贈る「教育実践研究賞」の２つの賞があるのも、本学会の特色をよく示しています。
今後も会員の皆様のご協力をえて、学会のますますの発展を目指していきたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
関西教育学会会長
矢野 智司